バランスシート(BS)視点の経営分析
- 2019.08.26
- 経理部奮闘記
- BS経営, バランスシート わかりにくい, 貸借対照表 わかりやすく

企業の経営分析をするにあたっては会社の決算書を見て行う場合が多くあります。
損益計算書であるPLはわかりやすいけれど、貸借対照表(BS)はわかりづらいし、見たところで何がいいのか悪いのかわからない。
今回はバランスシート(BS)の視点から経営分析をするにあたってどういった観点で見ると企業の実態が見えてくるのかを解説します。
バランスシート(BS)視点での経営分析

はじめに
まずはバランスシートについて簡単に解説します。
バランスシートはBSや貸借対照表といった呼ばれ方をしていて、ある時点の企業の財政状態を表す決算書になります。
1つのバランスシートから読み取れることもたくさんありますが、他の企業のバランスシーや過去のバランスシートと比較することによってより深く分析する事が可能になります。
今回記載する記事も過去や他社のバランスシートとの比較を念頭に置いて記載していきますので、実際に分析をする際には2つ以上のバランスシートを比較しながら行ってみてください。
また分析を行う際には何を知りたいかという目的をはじめに意識する必要があります。
財務体質が良いかどうかを知りたいと言ったことや、企業の体質の中にどんな強み、弱みがあるのかを知りたいと言った目的を設定した上で適切な視点でバランスシートを見ることで企業実態が見えて来ます。
今回はバランスシートを分析する視点についてご紹介したいと思います。
総資産から企業の規模がわかる
まずバランスシートを見る上で確認してみていただきたいのが総資産の金額です。
総資産からは会社としてどれくらいの規模の資産を抱えているのかがわかります。
つまり企業のおおよその規模感をここから読み取る事ができます。
総資産に対してどれくらい利益を上げているかという指標にROA(当期純利益÷総資産)というものがあります。
これを用いる事で企業の効率性がわかります。
どれだけの資産を用いてどれだけの利益を上げているかという指標になります。
単純に考えればROAが高い企業にお金を投資すればリターンも大きくなるということになります。
各区分の金額規模と構成比率を見比べてみる
総資産の金額を見て企業の規模感をおおよそ把握したら、より細かくバランスシートを見ていきます。
次に注目したいのはバランスシートの構成です。
大きな区分でいうと、資産、負債、純資産といった区分があります。
資産は会社がどういう形態でお金を保有しているかを表し、負債は将来的に返済義務のある金額が表されています。
一番わかりにくいのが純資産です。
一旦は資産と負債の差額であると考えておいていただければと思います。
後ほど簡単に解説いたします。
流動資産の特徴
バランスシートで表される流動資産は短期的に現金になるであろう資産(一年以内)が表示されています。
一年以内にお金にならない可能性のあるもの(例えば棚卸資産など)も入ってはいますが、仕入れから販売(製造)までの期間が長い企業では一年以上かかる場合もありますがおおよそ一年以内に現金へと姿を変えます。
つまり流動資産からは短期的な支払い能力というのをざっくり把握する事ができます。
ただし、流動資産の中には棚卸資産が含まれます。
まだ仕入れ(製造)をした段階では販売に結びついていないため、本当に現金として回収できるかわからない資産もあります。
資金に対して棚卸資産がどれくらいあるのかというのも把握しておくとより踏み込んだ分析となります。
固定資産の特徴
固定資産は一年以内に現金化しない資産になります。
事業のために使う建物や備品などが固定資産に該当します。
形のある固定資産のことを有形固定資産と呼びますが、有形固定資産は減価償却という方法によって費用(コスト)となります。
なので、固定資産の購入の意思決定を間違えてしまうと将来的に事業の重しとなってしまいます。
決算書を見ただけではわかりませんが、収益に貢献してない固定資産を抱えた企業は財務状況が悪化する恐れがあるでしょう。
流動負債の特徴
流動負債は短期的に現金を支払わなくてはいけない義務を表しています。
代表的な科目としては借入金があります。
平易な言葉を使うと借金です。
なのでこの流動負債の金額と流動資産の金額のバランスも非常に重要です。
流動資産が短期的に現金になるであろう金額を表しているのに対して、流動負債は短期的に支払わなければならない金額を表してします。
特に流動資産の中の現預金とのバランスを見て資金に余裕があるのか把握するといいでしょう。
固定負債の特徴
固定負債は長期的(一年以上)先に支払わなければならない金額を表しています。
ここは将来的にどれくらいのお金を払わなければいけないのかなーというのを把握します。
流動資産でどれくらい賄えているかを見れば長期的にも比較的安定している企業と言えるでしょう。
純資産の特徴
純資産は資産と負債の差額の金額となっています。
資本金(会社に対して株主から払い込まれたお金)と利益剰余金(過去から積み上げてきた)で構成されています。
そのほかの科目も入ってくる場合もありますが、マニアックになってしまうので別の記事に譲ります。
資本金は返済義務のないお金になります。
利益剰余金は過去の利益の積み上げてを表している金額になります。
配当金を利益剰余金から払っている場合もあるので過去の利益が全部積み上がっているかというとそうでもありませんが、今現在において過去の利益をどれだけ保有しているかを見ることができます。
資産はお金の使用形態、負債と純資産はお金の調達方法
バランスシートの資産はお金が今どんな状態で企業の中にあるのかということを表しています。
販売目的に保有している資産(棚卸資産)として保有しているのか、事業のために使う目的として持っている資産(固定資産)なのかはたまたお金を回収する権利という形で保有しているのかがわかります。
なので科目のバランスを比べてみることによって企業の形態がわかってきます。
物を売って利益を上げていく形態であれば棚卸資産の金額が大きくなる傾向にありますし、インフラを提供する企業であれば固定資産の金額が大きくなります。
一方、負債と純資産からはお金の調達方法がわかります。
純資産の比重が大きければ株主の出資又は過去の利益の積み上げを事業に使っているということになりますし、
負債の比重が大きければ銀行などから借り入れることによって事業を運営していることになります。
企業活動において借入金が悪いばかりではないので注意が必要です。
成長中の企業であれば積極投資を行うために借り入れを増やすという選択肢もあるためです。
各項目の特徴を捉え、比較する
バランスシートをみて分析を行う際には上記したような特徴を抑えて複数のバランスシートを比較することが重要です。
今回ご紹介した視点は一例にすぎません。
さまざまな角度から分析することができるので、まずは特徴を抑えて、是非自分なりの分析手法を確立してみてください。
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